世界の土木遺産

クワイ川鉄橋(タイ・カンチャナブリ)
映画『戦場に架ける橋』の舞台となったクワイ川鉄橋
■ 映画『戦場に架ける橋』の舞台となったクワイ川鉄橋

泰緬鉄道の光と影の象徴「クワイ川鉄橋」

岩盤と列車のあいだは10cmほどしかないところもあるタムクラッセ付
■ 岩盤と列車のあいだは10cmほどしかない
ところもあるタムクラッセ付近

タイ国鉄ナムトック線にバンコクから乗り、農村地帯を走ると3時間ほどでクワイ川鉄道駅に到着する。目の前には映画「戦場に架ける橋」で有名なクワイ川鉄橋が姿を現す。この橋は第二次世界大戦中に建設されたものであるが、今では週末になると多くの人が訪れる人気の観光スポットとなっている。
この鉄道は、当時占領下にあったビルマへの補給ルートとして、日本軍によって建設された。それまで建設が不可能と言われた難工事であったが、わずか1年4ケ月で完成された。タイとビルマを繋ぐことからタイを意味する「泰」とビルマを意味する「緬甸」(メンデン)の一文字をとり、「泰緬(タイメン)鉄道」あるいは「泰緬連接鉄道」と呼ばれたが、皮肉にも当時ビルマに駐在していた日本軍の撤退に利用されることとなった。工事を急ぐあまり、不幸にも動員された捕虜や労働者に多くの犠牲者を出した。
クワイ川鉄橋は全長約333m、橋脚と橋脚の間に小さい曲線のアーチを連ねて組み上げている。1945年4月と6月、空爆で鉄橋中央部の3スパンが陥落し、鉄道機能は停止した。終戦後、ビルマ側の鉄道は撤去されたがタイ側は補修され、タイ国鉄に引き継がれた。そして、損壊したクワイ川鉄橋は日本の戦後賠償によっていち早く修復され、現在でも再建された箇所以外は建設当時の橋脚と橋梁がそのままの姿で残っている。

【アクセス】
トンブリ駅よりタイ国鉄ナムトック線でカンチャナブリ駅を経て「クワイ川鉄橋駅」で下車。

【地図】
googleマップでクワイ川鉄橋の位置を確認する

「Consultant」230号

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