世界の土木遺産

芍陂(安豊塘)
広大な湖水を湛える芍陂の堤防は地平線まで続く
■ 広大な湖水を湛える芍陂の堤防は地平線まで続く

蘇った中国最古の巨大水利施設「芍陂(安豊塘)」

遥かに続く街路樹と芍陂の堤防道路
■ 遥かに続く街路樹と芍陂の堤防道路

中国の古代四大水利事業の一つに数えられ、現存する中国最古の灌漑施設と伝えられる芍陂(しゃくひ)。現在の呼び名は「安豊塘(あんほうとう)」。約30kmの土堰堤で囲まれた巨大な貯水池である。建設は春秋時代のBC598〜BC591年とされ、後に続く古代水利事業の原点と云われている。池の畔には施設を永く使い続けるための戒めを刻んだ石碑を納めた祠が置かれている。芍陂は春秋時代にこの地を治めた楚の国王・庄王が富国強兵を目的とした灌漑水と水運の確保や漁業育成のために、宰相・孫叔敖に命じて創建させた。貯水は下流近傍の都市「寿春(現在の寿県。春秋時代に栄えた楚の最後の都“郢”)の生活水として使用された。また湖沼の膨大な貯水能力は洪水時の治水機能を併せ持つ。時は過ぎやがて唐の時代となって、周囲の豪族は石碑の戒めを破って堤防に多くの水門を築き、勝手に自分の土地に水を引きはじめた。湖内は干上がり、湖底の一部が畑地として埋め立てられ一時的に機能を失ったが、水害の多発と食糧増産のために、中国政府によって1972年から大掛かりな修復が行われた。

【アクセス】
合肥よりバスで合阜高速道路に沿って約5時間で寿県へ。そこから車で南へ約40km。

【地図】
googleマップで芍陂(安豊塘)の位置を確認する

「Consultant」226号

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「土木遺産II アジア編」
ダイヤモンド社刊

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