駅
-人々の触れ合う空間創出を目指して-
ほとんどの人が毎日何気なく通過している駅。そこは紛れも無く日常の、あまり意識されない場所である。「電車等に乗るための施設」としか認識されていない駅は、日々繰り返されるルーチンワーク:通勤・通学の通過点に過ぎない。
しかしながら「駅」の語源を辿ると、宿場や厩(うまや)といった昔の歩行や馬(馬車)の交通の中継点といった意味を持つ言葉であることが分かる。元来人々の集う交流点、それが駅であった。例えば、駅には待合室と呼ばれる空間がある。欧米の大都市にあるターミナル駅の待合室の広大さには驚かされる。そこには昔から旅に出る人とそれを見送る人の濃密なふれあいとドラマがあった。
駅は単なる公共交通機関の結節点ではなく、その存在は「地域の顔・シンボル」といえる。
その駅空間に、文化・生活・情報という地域のコミュニティ機能を持ち込むことができれば駅と
まちの関係は更に深まり、我々の生活にも潤いを与えるものとなるであろう。
さらに駅前広場や駅周辺のビル建築等も取り込んだ総合的な空間に目を向けることにより、
「都市再生」、「まちづくり」、「再開発事業」などが要素として加味され、より多様なヒューマンコミュニティあふれる空間が創造されることが期待できる。
こうした現在の駅の持つ空間と機能の広がりに対する可能性に注目して、駅を見直してみたい。
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