パブリックスペースをみんなでつくるには
土木分野ではパブリックスペース(公共性のある空間のこと)を対象として扱うことから、 従来、地域の方々との合意形成・協働は重要で、 望ましいあり方を数多くの研究や実践を通じて模索されてきました。
ただ日本では、「納得できる根拠がない」「情報発信や対話の手続きが不十分」 といった点から合意形成が適切に行われていないことがあります。 さらに近年、2つの観点から合意形成・協働はより難しくなっています。
1点目は、SNSの普及です。 個人が社会へ意見を発信しやすくなって、 「なぜこの形になったのか」「なぜこの整備がなされたのか」という 根拠や説明がないパブリックスペースには、厳しい意見がWEB上で交わされ、 結果として再整備が強いられるケースもあります。
2点目は、ユニバーサルデザインやインクルーシブ等、 社会を包摂する概念が普及していることです。 納得できる、みんなが使いやすいパブリックスペースを検討していく際には、 障がい者をはじめ、より多くの地域のみんなとの協働が必要です。
コロナ禍の時代を経て、 地域のことは地域のみんなで考え、決めていくということも増えていくはずです。 適切に合意形成・協働を行うことで地域に仲間が増え、 より良いパブリックスペースが創出できるかもしれません。 しかし、適切な合意形成・協働とはどのようなあり方でしょうか。
本特集では、仲間をつくり、納得しながら、 みんなでパブリックスペースをつくっていくためのあり方を紹介します。 この特集が、地域が一体となった、 気持ちの良いパブリックスペースの創出に寄与することを期待しています。
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