土木遺産V
-日本の国づくりの心-
日本の国づくりは、自然災害との戦いの歴史であった。たびたび襲ってくる地震や津波、台風のたびに氾濫する河川や崩れる山々。いにしえの日本人は、こうした災害を克服するために、様々な工夫を重ね国づくりを行ってきた。そこには、独自の土木技術があった。
明治になり西洋から新しい文物が入ってくると、土木技術も大きく変わった。しかし、西洋の技術をそのまま取り入れるのではなく、咀嚼しながら利用したのではないだろうか。明治以前に培った日本の土木技術と、明治になり入ってきた西洋の土木技術が融和して、風土に合った土木技術を造り上げたのではないだろうか。
今日、成長の時代が終わり成熟の時代を迎えたといわれている。そんな中で、土木技術者は何をなすべきなのか。土木構造物はどうあるべきなのか。先人が造り上げた土木遺産を探ることで、この答えを見出せるのではないだろうか。日本の国づくりの心を探ってみたい。
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