土木施設を使いつくす
近代日本の経済発展と安全快適な生活を支えるため、
様々な土木施設が整備されてきた。
その中には、役目を終えて取り壊されるものや
撤去されずに廃墟と化していくものもあるが、
取り巻く環境や時代の変化に応じて形や目的を変えながら
使われ続ける土木施設がある。
近年、厳しい財政を背景として既存施設を賢く使う、
言い換えれば“土木施設を使いつくす”ことが求められている。
資源を有効活用し、廃棄物の発生を防ぐことは、
SDGs(持続可能な開発目標)の12番目のゴールである
「つくる責任 つかう責任」にもつながる。
しかし、対象とする土木施設ごとに条件や課題が異なるため、
何をどう使いつくすか、最適解を導き出すには創意工夫が求められる。
これは、新しい観点から土木施設を捉え直すことで、
その価値を最大化できるチャンスともいえるだろう。
建設コンサルタントの腕の見せ所である。
本特集では、形を変えながらも地域を支え続ける
トンネル、運河、ダム、防潮堤、鉄道、道路の6種の土木施設に注目し、
いかにして新たな課題に向き合い、生まれ変わってきたのか、
その背景にはどのような選択があったのかを読み解くことを通して、
時代の変化に順応しながら土木施設を使いつくす知恵を探りたい。
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