21世紀の社会資本

建設コンサルタントという仕事

(1) 21世紀の社会・経済

 21世紀のわが国においては、急激な人口減少の進行と少子・高齢化社会の到来、それに起因する経済活力の低下や財政縮小および投資余力の減少が予想されています。これに加えて、中国、タイ、シンガポールや韓国など、アジア諸国の台頭も著しく、わが国はこれまで以上に国際競争力を確保する必要が生じています。その一方で、環境意識の高まりに見られるように、多様な価値観や質の高い生活の希求などが広がっており、国民の意識にも大きな変化がみられます。

(2) 21世紀の社会資本

 こうした国民の価値観に的確に応えるためには、社会資本整備の実施に際しても、21世紀にふさわしい内容とする必要があります。従来のように景気の下支えや雇用の場の確保を目的とするフロー効果を重視するのではなく、近未来の投資余力が減少する社会を見通し、国力を向上させるストック形成を重視した社会資本整備が重要となります。21世紀社会において国民が豊かさとゆとりを実感しながら暮らすことができるためには、良質で耐久性の高い社会資本ストックを必要な量だけ形成していくことが重要です。
 このような社会資本整備を推進するための基本的な方向性としては、次のようなものが重要なテーマと言えます。

1)国民が安全で安心に暮らせる国土を形成すること

2)循環型社会を構築すること

3)環境、防災、景観に配慮し、魅力と活力のある都市に再生すること

4)日本の文化と自然を再生すること

5)国力と国際競争力を強化すること

 様々な自然災害から国民の生命と財産を守ることは従来と同様に極めて重要ですし、省資源・省エネルギーを前提とする循環型社会や未利用空間を活用した都市の再生やわが国固有の自然や歴史と調和した個性豊かな地域文化を創造することも必要です。さらに、物流基盤整備や都市構造の改善などの社会資本の強化と、産業の強化とを両輪として、国力と国際競争力を強化していく必要があるといえます。

(3) 21世紀の社会資本整備の方法

写真 人と環境に優しい交通システムの函館路面電車 これらの方向性を実現するためには、社会資本整備に関する国民の間の合意形成が重要ですし、PFI(Private Finance Initiative)などの民間資本を活用することや、PM(Project Management)/CM(Construction Management)などの新たな事業執行形態を導入することも欠かせません。また、効果的に社会資本を整備するために、国土経営や国土のあるべき姿を検討する国土マネジメント、社会資本を計画段階から設計・施工・維持管理・解体リサイクルまで統合的に管理するライフサイクルマネジメント、事業を効率よく実施する建設生産システムを構築する事業執行マネジメント、という3つのマネジメントを実施することが重要といえます。これらに加え、透明性・競争性を明確にした事業執行システムを導入することにより、良質かつ廉価で、タイムリーな社会資本整備が実現するといえるでしょう。