建設コンサルタントの歴史
戦前における生活基盤や産業基盤などの社会資本の整備は、内務省等行政によって直接実施されてきました。その中には勿論、企画、調査、計画、設計、施工など一連の業務が含まれています。
戦後復興のための社会資本整備に対する要求が高まり、その事業量が急速に拡大するとともに、一連の業務のうち企画を除いたものについて民間技術力の活用が始まりました。
昭和34年1月、建設省事務次官通達「土木事業に係わる設計業務などを委託する場合の契約方式等について」が発出され、任意の事業について、原則として設計業務を行うものに施工を行わせてはならないという、いわゆる「設計・施工分離の原則」が明確化されました。この原則は、設計業務(調査、計画、設計)を行う建設コンサルタントの確立と発展の基礎になりました。
そうした中、建設コンサルタンツ協会(以下、当協会)は昭和36年4月に設立され、昭和38年には建設大臣の許可を受けて社団法人化されました。なお、協会発足当時の会員数は12社でした。
昭和39年、建設大臣による「建設コンサルタント登録規程」の告示により建設コンサルタント登録制度が創設され、これを契機に建設コンサルタントは飛躍的な発展を遂げました。登録企業数は昭和40年2月で226社でした。業務内容も、徐々に多様化・高度化し、現在では公共土木事業における執行体制の重要な役割を果すまでになっています。
昭和48年の石油ショックを契機として、順調に推移していました建設コンサルタント企業の経営状態は一変して厳しくなりました。こうした状況を受けて、昭和58年5月、当協会は第一回目の建設コンサルタントのビジョンを発表しました。その後、時代の変遷にしたがって、平成元年5月には建設省(現国土交通省)が「ATI構想・建設コンサルタント中長期ビジョン」を、平成15年5月には当協会が新たなビジョン「改革宣言」を策定しました。当協会の会員数は、この間、経年的に増加して平成13年3月に519社でピークを迎え、平成17年3月に498社と若干減少しております。
平成6年1月、「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」が閣議決定され、平成6年度より建設コンサルタント業務についてプロポーザル方式が本格的に導入されました。また、平成17年4月より「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(通称、品確法)が施行し、その基本理念の中で調査及び設計の品質確保が謳われ、建設コンサルタント市場は従来の価格による競争から技術力で競争する市場へと変貌を遂げようとしております。