(4)建設コンサルタンツ協会各社の技術者数・高齢化・女性技術者
(1) 建設コンサルタント企業
1998(平成10)年度がピークとなる公共事業予算の減少を背景に、会員企業数も2003(平成15)年度以降に減少に転じました。2012(平成24)年度以降は、東日本大震災を契機に増加し、2023(令和5)年3月末時点の会員企業数は504社です。国土交通省に登録している建設コンサルタントの企業数は2023(令和5)年3月時点で3,959社あり、直近10年では横ばいです。これを資本金規模別に登録企業数を見ますと、資本金2,000万円未満の企業が全体の約50%を占め、資本金5,000万円未満までを含めると約80%となり、中小規模の企業が非常に多いのが特徴です。
(2) 建設コンサルタントの事業量
国内公共事業に関する建設コンサルタント業務の契約金額は、令和4年度は平成24年度から約50%増加しています。(社)建設コンサルタンツ協会(以下、当協会)会員の売上高は、令和5年度に1兆1,309億円(501社)であり、平成26年度(426社)から約63%増加しています。
会員企業のコンサルタント部門売上高総額は、1997年(平成9)年度には、10,332億円に達しました。その後減少を続けましたが、2012(平成24)年度から増加傾向に転じて、2020(令和2)年度には10,735億円と9期連続して増加し、2021(令和3)年度は微減したものの、2022(令和4)年度からは再び増加に転じています。
建設関連業等の動態調査(50社) 国土交通省 建設経済局 |
(3) 建設コンサルタンツ協会参加各社の現状
当協会会員企業の売上高経常利益率は、2012度は3.4%でしたが、2015年度及び2016年度は6%程度、2017年度から2021年度は7%台から10%台に順調に伸びています。防災、街づくりなどの専門家として社会資本の維持に全力を挙げております。建設コンサルタントの業務は、多岐にわたっておりますが、部門別にみると道路部門と河川・砂防及び海岸部門が多く、この2部門で全体の約57%を占めています。
出典:(社)建設コンサルタンツ協会資料 |
出典:建設コンサルタント関連5団体の受注調査資料 |
(4) 建設コンサルタンツ協会各社の技術者数・高齢化・女性技術者
〇技術者数
当協会会員企業は、業務の高度化、社会状況の変化に対応した技術への取組など、新たな技術者像の創造に向け努力しております。一社当たり技術者数は約100人/社で、年により変動はありますが近年増加傾向にあります。
会員企業で働く技術職員の数は、1997(平成9)年度には46,665人に達し、その後減少傾向にあったが、2010(平成22)年度以降増加に転じ、2022(令和4)年度に5万人を超え、2023(令和5)年度は53,339人となっています 。
※各年度の会員数は年度末(3月31日)の数値 ※技術者総数および技術士数は、「役員・委員会名簿」による資料にて算定 |
〇職員の高齢化
建設コンサルタントに所属する職員の年齢構成を見ると、人数の最も多い年齢は、1995(平成7)年度が24歳から26歳であったのに対し、その後の新卒採用が少なかったことで、2023(令和5)年度では51歳から53歳が最も多くなり、建設コンサルタントは高齢化が進んだ業界となっています。近年は、担い手不足を解消すべく、ベテラン・シニア技術者の積極的な活用とともに、建設関連業界の魅力アップに力を注ぐことにより、20歳代の増加傾向がみられています。
〇女性技術者の現状と活躍推進
建設コンサルタント業界は、女性技術者の比率が低いことから、今後は女性技術者の採用・育成・定着が重要です。2019(平成31)年4月に施行された改正労働基準法や2019(令和元)年6月に施行された改正品確法などに対応し、社内の規定や制度を改善し、女性技術者も働きやすい環境作りを推進し、活躍の場を提供できるような「働き方改革」の推進が一層必要となっています。
建設コンサルタント業務に関係の深い技術者資格は、技術士とRCCM(Registered Civil Engineering Consulting Manager)があります。国家資格である技術士の数は、一社当たり2023年度末39人/社で、一社当たり技術者の約37%を占め、高品質な成果品を提供するために全体的に増加傾向にあります。