(1) やりがいのある職業
建設コンサルタントの仕事は、医師などと同じように専門性の高い仕事であるため、厳しいものであるかもしれません。しかし、国民生活を支える社会資本(安全・安心な豊かな国作りの基盤)を整備するという大事な役割を持っている働き甲斐のある職業だといえます。女性技術者も増えてきました。もちろん、管理職となっている女性技術者もいます。
建設産業は今大きな試練を迎えています。一方、国民の多くが望んでいる本当に必要な社会資本整備を行なうためには建設コンサルタントの役割がますます重要になり、それらを果たすためには建設コンサルタント業務の周辺領域への拡大が求められています。特に、私たちが考える拡大領域としては、国土のマネジメント、ライフサイクルマネジメントおよび事業執行マネジメントなどに関わる部分です。これからの建設事業の執行システムでは、事業評価・説明責任など事業の必要性と透明性を確保することが必須となります。このような役割の多様化と拡大は、良質な社会資本形成のための国民の要請といえます。この拡大する役割を担う者として一番近いところにいるのは、建設コンサルタントであると私たちは考えています。社会貢献を考える人には、将来展望があり、やりがいのある職業だといえます。
これまで私たち建設コンサルタントは土木工学技術者が中心となって技術者集団を形成していましたが、近年、多くの知恵と英知を結集することが社会の要請となり、環境問題の解決、PFI事業など、私たちの業務の内容も多様化してきました。
建設コンサルタントは多くの専門家を求めています。志のある多くの方々の参加を求めます。
(2) 建設コンサルタントにもとめられる素養
建設コンサルタントの仕事は責任のある、やりがいのある仕事です。これを行うためには、常に高度な技術力が求められ、経験や学習によって継続的に能力を伸ばすことが必要です。
専門能力の深耕とコミュニケーション能力の向上は必須です。企業の役割・企業内の技術者の役割に応じて、自己の能力開発を継続的に維持・向上できる技術者、自己のキャリアパスを意識して自らを鍛える技術者が求められています。
正・不正を的確に判断できる倫理観を有し、適正な技術をもって問題解決する技術者が期待されています。倫理は技術者が堅持しなければならない規範であり、業務や役割に応じた固有の倫理があります。関連法令の遵守は倫理堅持の前提条件です。
多様な役割に向かって活路を開くためには、建設コンサルタント技術者は他を牽引するリーダーとしての素養が要求されることになります。
いずれにしても、建設コンサルタントの資源は人材です。優秀な個人が十分にその力を発揮できる環境を持つことが、建設コンサルタントの未来を約束すると考えています。