景観(けいかん)デザインの仕事をするには?

建設コンサルタントという仕事

景観(けいかん)デザインの仕事をするには?

太田さんのような仕事につくには、どうすればいいですか?

 

景観デザインに限らず、土木(どぼく)の仕事に興味があるなら、大学で専門的な勉強をしておいたほうがいいですよ。
大学ではいろいろな授業を受けますが、その中には何の役に立つのかわからないようなものもあります。でも、実さいに土木の仕事を始めると、「あのとき習ったアレは、ここで使うのか!」と気づいておどろいたりします。こんなことなら、もっと勉強しておけはよかった、と後かいすることもしばしば。

ですが「習った記おくがある」なら、どこを勉強し直せばいいのかすぐにわかりますよね。習ったことさえなかったら、何から手をつければいいのか見当もつきません。だから、大学の学部を選ぶときも、土木に関係のあるところを探してください。

わたしは英語や国語が苦手だったので理系(りけい)に進みましたが、それなら数学(すうがく)が得意だったかというと、そうでもなかったです。
ただ、中学のころ、塾(じゅく)で数学の勉強をしていたとき、とつぜん、いろんなものがつながったしゅん間があったんです。それまでは習っていたことがバラバラに頭の中にあって、それが何かのひょうしにピタッとはまったという感じ。問題をとくとき、答えまでの道すじがイメージできるようになって、それ以来、数学への苦手意識(にがていしき)は少なくなりました。
もちろん計算ぎらいはなくなりませんでしたけど(笑)。

 

この経験(けいけん)から、いろんなことに興味(きょうみ)を持って、とりあえずやってみたほうがいいとわたしは思っています。

食わずぎらいもあると思うので、やってみたらあんがい好きになるかもしれません。やってみて得た知識(ちしき)や経験を頭の中に入れておくと、何かのひょうしにバラバラだったもの同士がつながって、意外なことが「わかる」ようになるのではないでしょうか。

自分は文系(ぶんけい)に進むから、数学の勉強をしてもムダ、という人もいますが、わたしはそうは思いません。
さっき言ったように、わたしは国語が苦手だったので、小説などをほとんど読んできませんでした。理系に進むから受験(じゅけん)に関係ないと思ったし、興味がなかったんですね。
でも、今では、もっと読んでおけばよかったと思っています。仕事で報告書(ほうこくしょ)などの文章を書くとき、自分でも言葉の表現力(ひょうげんりょく)がとぼしいな、と感じるからです。子どものころからもっと本を読んでいたら、表現力も考え方も広がっていたのではないかな。算数や数学だって同じです。日常生活で公式は使わないかもしれませんが、必ず何かの役に立つはずですよ。

学校の勉強はもちろんですが、小説でも美術でも音楽でも、「よい」とされているものにふれておくのは、すごく重要だと思います。

 

太田さんのこれからの目標や夢(ゆめ)を教えてください。

 

仕事での目標は、今よりもっとよいものをつくり続けることです。
私たちがつくるものは、100年ぐらい使われますから、未来の人たちにはずかしくないものをつくりたいですね。

この仕事をしていて一番うれしいのは、自分たちがつくったものを、いろいろな人たちが気持ちよく使っているところを見ることなんです。

じつはもうすぐ、わたしの子どもが生まれます。その子といっしょに「竜閑(りゅうかん)さくら橋」を歩いてみたいですね。どんな反応をするかな。今から楽しみにしています。

 

太田さん、どうもありがとうございました!

取材日:2018年7月18日
取材/文:石井美佳(アイプランニング)/撮影:斎藤秀明(Gakken)/
写真提供:大日本コンサルタント株式会社
協力:学研キッズネット
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