環境調査(かんきょうちょうさ)のやりがいは?

建設コンサルタントという仕事

環境調査(かんきょうちょうさ)のやりがいは?

中坪さんの仕事について、いろんなことを聞いてみたよ。
まず、仕事のスケジュールを教えてください!

 

さきほどお話ししたような、現地に行って環境を調査する仕事は、だいたい1週間に1度ぐらいです。

新潟県(にいがたけん)や宮城県(みやぎけん)などに出張(しゅっちょう)することも月に1、2度あります。ぼくは入社して2年目なので、まだそれほど多くはないですね。

それ以外の日は、オフィスでデスクワークをしています。
ここでは、オフィスでのスケジュールを紹介(しょうかい)しましょう。

 
9:00 出社。パソコンを開いてメールをチェック。
クライアントや協力会社から何か連絡(れんらく)が入っていないか確認(かくにん)。協力会社というのは、川の水生昆虫類(すいせいこんちゅうるい)調査をしたときにチームを組んだ生き物調査のプロフェッショナルとか、研究室で昆虫の分析(ぶんせき)をしてくれた人たちがいる会社のこと。
いろんな会社が集まって1つのチームをつくっているので、みんなで協力しながら調査を進めることが多い。
10:00
メールの内容を受けて、社内で打ち合わせ
12:00 昼食。お昼休みは1時間。
13:00
午後の仕事開始。パソコン作業や資料(しりょう)の整理などをする。
15:00 その結果を受けて、社内で打ち合わせ。
17:00 終業(しゅうぎょう)。いそがしいときは18時ぐらいまで残業(ざんぎょう)することもある。
中坪さんのオフィスの様子。環境調査に使う道具もそろっている。 中坪さんのオフィスの様子。環境調査に使う道具もそろっている。

ぼくは自然(しぜん)が大好きなので、仕事の中では現地調査が一番楽しいです。

でも、調査結果をきちんと分析して、報告書(ほうこくしょ)にまとめてクライアントに提出(ていしゅつ)することが本来の目的。

次の調査にそなえて、下調べや打ち合わせも欠かせません。オフィスでの仕事はとても大切なんですよ。

 

■今まででいちばん楽しかった環境調査は?

猛(もう)きん類(るい)の調査ですね。タカやワシなどの希少(きしょう)な鳥類が生息しているかもしれない地域(ちいき)で、土木工事(どぼくこうじ)をすることになったんです。その工事が鳥たちにどんな影響(えいきょう)をあたえるかを調査しました。まず、現地に行って、周辺に巣(す)がないことを確認します。工事が始まってからも、鳥たちの様子に何か異常(いじょう)がないかどうか、そうがん鏡で観察(かんさつ)し続けました。

猛きん類調査のようす  写真提供:建設技術研究所 猛きん類調査のようす  写真提供:建設技術研究所
 

■環境調査で気をつけることは?

現地調査には危険(きけん)がつきもの。山おくや、あまり人がいないようなところでも調査をしますから、ケガをしてもすぐに病院に行けるとはかぎりません。とくに気をつけなくてはいけないのが転倒(てんとう)。ころんで足をくじいたりして動けなくなったら大変です。
それからスズメバチもこわいですね。クマがいる地域を調査するときは、クマよけの鈴(すず)をつけています。
場所ごとに気をつけなくてはいけないものがちがってくるわけですね。安全のためには、日がくれる前にきちんと調査が終わるように、しっかり時間の管理をすることも大切です。

安全のために服そうにも注意が必要だ。ヘルメットは必ず着用。水に入る作業は、ウェットスーツを着ることも。 安全のために服そうにも注意が必要だ。ヘルメットは必ず着用。水に入る作業は、ウェットスーツを着ることも。
 

■この仕事のやりがいは?

環境にやさしい町づくり、社会づくりに、少しでも役に立てたかな、と思えたときにやりがいを感じます。
たとえば、どこかの地域の役所が環境問題でこまっていて、その解決(かいけつ)方法をぼくの会社が考えることになったとします。
ぼくが現地調査をして問題の原因をさぐり、社内のいろいろな部署(ぶしょ)の人たちと相談しながら解決方法を考えます。
その方法を役所が取り入れてくれて、しかも後(のち)の調査で、確かに環境がよくなったという結果が出たりしたら、とてもやりがいを感じますね。仕事を依頼(いらい)してくれたクライアントもよろこんでくれるので、ぼくも本当にうれしくなります。

 

■この仕事で一番苦労するのは?

クライアントがどういう調査を望んでいるのか、どういう情報(じょうほう)を知りたいのか、そういうことをきちんと理解するのがむずかしいですね。というのも、一口に「環境問題」といってもいろいろあるし、問題の原因(げんいん)はひとつとはかぎりません。調査の方法もさまざまで、特別な機材や技術(ぎじゅつ)が必要なこともあります。クライアントが知りたいことがしっかりわかっていないまま調査をしても、的外(まとはず)れな報告書になってしまって、ガッカリさせてしまうでしょう。
逆(ぎゃく)に、ひとつの調査データからいろいろなことを読み取ることもできますから、その中でもクライアントが本当に知りたいことは何だろうと、相手の立場に立って考えるのが一番むずかしいですね。

たしかに「環境」とか「自然」という言葉はとてもはんいが広いよね。
中坪さんには、その中でもとくに得意なことってあるのかな? 次のページで聞いてみよう!

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