2021年度の事業計画

JCCAの紹介と理念

はじめに

 コロナ禍などの厳しい状況下においても「継続すべき業務を担う業界」との認識の もと、改正労働基準法等法令遵守による働き方改革の一層の推進、改正品確法を踏ま えた更なる品質確保や生産性向上、頻発する災害での緊急対応など、受注者の責務を より一層適切に果たすよう積極的に取り組む。

 また、安全で安心な日常生活を送るための基盤である社会資本の重要性やその整備 の推進に貢献している建設コンサルタントの役割を国民に理解されるよう広報活動に 積極的に取り組み、さらには度重なる災害や今後予想される大規模災害等から国民を 守り美しく豊かな国土となるよう、効率的・着実な社会資本の整備・保全のため、より 高い技術力を持った知的集団として貢献できるよう、一層技術力の研鑽や向上に継続 して取り組む。

 このように、安全・安心、活力ある社会の構築と持続可能で夢のある未来に貢献し、 魅力と働きがいのある業界として発展するよう、新ビジョンに基づき策定した中期行 動計画(2019~2022)を積極的かつ強力に推進する。

1.魅力ある建設コンサルタントに向けた環境整備とそのための活動基盤の充実 

(1)より一層魅力ある職場づくりを推進し、今後も建設コンサルタントがその役割を 十分に果たすとともに、社会資本の整備・保全を計画的かつ着実に推進するため、 建設コンサルタントが抱える諸課題の実態調査やその改善策、テレワークの一層の 推進等受発注者間の業務改善策の提案など、発注機関等との意見交換会を継続して 開催するなど積極的に活動する。

 併せて、国土交通省等に設置されている委員会等に対応した様々な課題について 検討を行う。

(2)改正労働基準法を踏まえ働き方改革をなお一層推進するため、引き続き働き方改 革セミナーを開催するとともに、職場環境改善に向け引き続き一斉ノー残業デーの 実施やウィークリースタンスを含めた様々な施策の実態調査を継続して実施する。

 また、平成 27 年度に若手を中心として発足した「業界展望を考える若手技術者 の会」の活動を継続する。

(3)建設コンサルタント登録制度が地方公共団体においてより活用される制度とな るよう具体的な活用促進策の検討を行う。また、建設コンサルタントの地位向上の ため、建設コンサルタント業務の法制化や技術者の資格制度のあり方について検討 する。

(4)地域コンサルタントの健全な発展のため、地域コンサルタントの経営実態の把握 や、意欲ある地域コンサルタントが選定される入札契約制度のあり方等について、 引き続き検討を行う。

(5)会員の経営改善等に資すべく、会員の経営・財務状況の分析を行い経営分析説明 会を開催するとともに、外部講師を招いた契約のあり方に関する講習会を引き続き 開催する。

 また、建設コンサルタント賠償保険制度について、民法改正を踏まえた制度内 容の検討や会員のニーズへの対応、業務領域の拡大を踏まえた保険制度の必要性 の検討や保険の加入の義務化など、適正な責任担保制度の確立に向けて検討を行 うとともに、発注機関と公正な契約を締結するため損害賠償責任のあり方につい て検討を行い、委託契約約款の改正を含め提案を行う。

2.品質の確保・向上

(1)平成 23 年 7 月に協会が策定した「品質向上推進ガイドライン」について改訂 版の発行とその周知活動行うとともに、品質確保・向上に係る様々な施策について 有効性や課題を整理し改善策を検討する。

 また、収集したエラー事例やアンケート調査結果に基づき効果的な品質確保策の 基本方針を検討する。

(2)建設コンサルタントの技術力向上と成果品の品質の確保・向上を目的とした品質 セミナーのビデオ配信、マネジメントシステムの効果的な運用事例の紹介やその他 のマネジメントシステムの普及を目的として、アンケート調査、調査研究等のほか、 最新情報や業界の動向、今後の方向性などの情報提供を中心としたマネジメントセ ミナーを全支部向けに継続して開催するとともに、支部における品質向上に関する 活動促進のため支部との連携を強化する。

3.技術の向上と技術力による選定の促進

(1)社会資本の本格的な維持管理・更新時代を迎え、戦略的・計画的な事業推進が求 められており、点検・診断から補修・補強設計等に関する業務体系、技術基準・要 領や報酬・積算体系および建設コンサルタントの役割など継続して検討し、発注機 関や関係機関に協会の提案事項を発信するとともに、会員へ技術情報を提供してい く。

 さらに、RCCM の点検・診断に係わる資格制度等の地方公共団体での活用促進を 図る。

(2)官民連携(PPP)、民間資金の活用(PFI)および PM/CM など建設生産・管理シ ステムの新たな業務領域の拡大に向けて、建設コンサルタントが果たすべき役割や 必要な取り組みに対する調査・研究を行うとともに、会員および地方公共団体等へ の啓発活動を支部と連携して行う。

(3)技術力に基づく選定をなお一層促進させるため、国土交通省および地方公共団体 における入札・契約制度に関する実態調査や動向調査等を継続して実施するととも に、新たな品確法運用指針に基づき国が公表する調査結果等も踏まえ、地方公共団 体へのプロポーザル方式や総合評価落札方式の普及活動を継続して行う。

(4)建設コンサルタント分野の技術的な課題や懸案事項について、方針・方向性の検 討や技術情報の提供を行う。また、必要に応じて技術相談窓口の運営を行い、新技 術や技術基準等に関するセミナー、講習会、勉強会等を本部・支部で引き続き開催 する。

 さらに、各種技術基準類等の見直しについて検討し、必要な対応を行う。

(5)海外事業への参入を支援するためのワークショップを継続して開催する。

(6)建設生産・管理システムの効率化を図るため、調査・設計~施工~維持管理を通 じた情報、ノウハウのプラットフォーム化やフロントローディングの考え方に基づ く全体最適設計の実現など、i-Construction(BIM/CIM 導入など)、DX などを積 極的に推進する。

(7)業務における優れた成果や自主研究開発成果の発表を通じて互いの技術の研鑽 を目的とした業務研究発表会を引き続き開催する。

(8)昨年度は、コロナ禍により RCCM 試験の中止や講習会の中止・延期等大きな影 響を受けた。今年度は RCCM 資格制度の重要性を踏まえ、コロナ禍等においても 万全の感染防止対策の下、試験が実施できるようCBT試験(紙を使わずコンピュ ーターで受験する方式)を導入するとともに、更新登録の WEB 化、WEB を活用 した自主学習環境の改善等 RCCM 資格制度全般の改善を進める。

(9)CPD 制度を適正に運用するため、CPD 監査の実施や会員の CPD 取得の支援を 目的としたセミナーの動画作成や WEB 配信、DVD の作成・配布の実施など、継続 して活動する。

4.広報活動の強化と社会貢献活動の推進

(1)建設コンサルタントを含めた建設産業界全体のイメージアップを図り、建設コン サルタントの役割や活動が一般国民に理解・評価されるよう、本部と支部との連携 や他団体との連携を一層深めるとともに、広報活動の方向性の検討や情報収集、情 報共有、それらを踏まえた情報発信を積極的に行う。

(2)魅力ある建設コンサルタントの広報活動の推進のため、学生懸賞論文、建コンフ ォト大賞等の公募と表彰や支部における講演会、セミナー、出前講座などの活動を 継続して行う。

(3)協会活動、委員会活動の広報と他団体や海外の情報を含めた様々な情報提供のた め、ホームページの充実を図るとともに、会誌、年次報告書や建設コンサルタント 白書等を発行する。

 また、各委員会の活動成果を必要に応じてとりまとめ公表する。

(4)社会資本整備の必要性や建設コンサルタントの理解促進のため、発注機関等への 委員派遣や全国の学校への講師派遣等を継続して行う。

 また、支部を中心として、まちづくり等へのボランティア活動に積極的に参画する。

(5)被災地域に対する迅速かつ適切な災害対応と改正労働基準法遵守との両立や災 害申請作業の合理化・適切化など、受発注者協働による災害対応のための環境整備 に向け積極的に活動するとともに、支部において締結される行政機関等との災害協 定や広域災害時の支援活動等に関する課題について、その対応策などの協議を継続 して検討する。

 また、災害時対応演習を今年度も継続して実施する。

5.倫理の保持

(1)令和元年 5 月に改定した「倫理綱領」を踏まえ、既存の「建設コンサルタント技 術者の倫理」や「建設コンサルタントにおける独占禁止法等遵守のための行動計画」 等について、「倫理綱領」との関係を明確にし、新たな行動計画・行動規範として検 討や改定を行う。

(2)職業倫理・コンプライアンスに関する啓発のため、コンプライアンス講習会の実 施、独占禁止法等遵守マニュアルの改定、独禁法等の動向調査や行動計画実施状況 調査等を実施する。

6.社会資本整備のあり方の提言

(1)建設コンサルタントの新たな事業展開や SDGs(持続可能な開発目標)を切り口 とした今後の社会資本整備・管理や地域マネジメントのあり方、建設コンサルタン トの役割の提案について検討する。

(2)インフラストラクチャー研究所を中心として、社会資本整備の必要性と建設コン サルタントの役割について幅広く国民の理解を得るための広報活動(インフラ整備 70 年講演会、インフラ研通信等)や、我が国における建設生産・管理システムの向 上に関する活動(建設コンサルタント業務の契約のあり方に関する講習等)、建設 コンサルタント技術者及び業界に対する技術情報の提供ならびに資質向上のため の活動(道路橋技術相談窓口)とともに、建設コンサルタントが携わる可能性の ある新たな業務の発掘に向けた研究等を行い、その成果を建設コンサルタント業界 に広報する。

(3)関連団体との連携を強化するため、公益社団法人日本建築家協会との社会資本整 備の進め方や新たな事業スキームの検討を始めとして、関連団体の講演会・講習会 への参加や情報交換を、支部を含め積極的に行う。

7.協会組織の充実と活動の強化

(1)新ビジョンに基づく中期行動計画(2019~2022)の推進を図るとともに、関連 委員会および支部の行動成果をとりまとめる。

(2)協会活動の充実と本部・支部活動の一層の連携を図るため、本部・支部意見交換 会を引き続き開催する。

(3)協会事務運営の合理化、効率化に一層努めることとし、令和3年度においては、 会員ニーズへの対応及び協会内ネットワークのセキュリティ強化等に向けた協会 システムの再構築のための検討に着手し、速やかなシステム改善等を図る。

8.支部活動の強化

 上記の他、支部においては地域の状況に対応した支部における様々な事業を積極 的に展開する。

FaceBook